ありがとうの本棚(今月の一冊『TwitterからXへ 世界から青い鳥が消えた日』)
TwitterからXへ 世界から青い鳥が消えた日 ジャック・ドーシーからイーロン・マスクへ、炎上投稿、黒字化、買収をめぐる成功と失敗のすべて 単行本(ソフトカバー)
- 2024/11/18カート・ワグナー (原著), 鈴木 ファストアーベント 理恵 (翻訳)
2023年「Twitter」の名称変更は、世界中のTwitterユーザーをパニックに陥れました。利用者の多い日本でも大きな話題となったため、印象に残っている方も多いのではないでしょうか。本書は150人以上の関係者からのインタビューを基に、Twitterの創業者であるジャック・ドーシー氏のCEO時代から、イーロン・マスク氏に買収され、Xになるまでの波乱に満ちたバックストーリーが綴られています。
ジャック・ドーシー氏は「個人が同時に多人数と簡単にコミュニケーションできる」アイデアを思いつきTwitterを考案し、「言論の自由の砦」にしたいと考えていました。しかし、広告主と株主は悪質投稿の検閲やアカウントの停止を求め、2021年Twitter社はドナルド・トランプ氏のアカウントを凍結しました。これにより「広告主・株主からの要求に応えて悪質投稿を取り締まるべきか」、「言論の自由を最大限尊重すべきか」の選択を迫られていきます。このようなTwitterというプロダクトおよび企業に対してのドーシー氏の苦悩が描かれています。こうした苦悩の中、ドーシー氏は敬愛するシリコンバレーの鬼才イーロン・マスク氏に助けを求めました。マスク氏による買収以降、Xとして再出発を図りますが、マスク氏による新たな挑戦や改革の数々で会社は大混乱に陥っていきます。
ドーシー氏がTwitterを手放した理由や経緯、単独で様々な決断を下し、ワンマン体制を築いたマスク氏と取締役会・社員たちとの攻防などの背景がわかり、現代社会における情報伝達の複雑さやソーシャルメディアの影響力について考えさせられる一冊です。また、米トランプ政権で要職を担うマスク氏がどう組織を運営するか、その一端を垣間見ることができるかもしれません。
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