【今月のFP情報コラム】「今買って、後で払う」 ―― BNPL(後払い)の基本と利用時に知っておくべき注意点(2026年5月)

 オンラインショッピングや日常の買い物で、クレジットカードに代わる新しい決済手段として急速に普及しているのがBNPL(Buy Now, Pay Later:後払いサービス)です。

 

 直訳すると「今買って、後で支払う」。この手軽な決済手法は、特に10代~40代のデジタル世代を中心に、現代の消費スタイルを大きく変えようとしています。

 

 今回はBNPLの仕組み、クレジットカードとの違い、そして利用する上で知っておくべきリスクについて解説します。

 

 

BNPLの仕組み

 

 BNPLの仕組みは、利用者がECサイトなどで購入した商品やサービスを先に受け取り、後日指定の期間内にBNPL事業者に代金を支払う形になります。支払い方法としては、コンビニ払い、銀行振込、スマホ決済などに対応しています。

  

 

  

 

① 購入:利用者が商品を注文し、決済手段としてBNPLを選ぶ。

② 審査:BNPL事業者が与信を確認し、承認されると注文が確定。

③ 発送:審査通過後、販売店は商品を発送。

④ 請求書:BNPL事業者は消費者に請求書を発行する。

⑤ 立替:BNPL事業者が、決済手数料を差し引いた代金を販売店へ立て替え払い。

⑥ 支払:利用者は、後日送られてくる請求書(またはアプリ)に基づき、期日までにBNPL事業者に代金を支払う。

 

 

 

BNPLとクレジットカード決済の違い

 

 BNPLの最大の特徴は、「審査が簡易的で、カードが不要」という点です。クレジットカードのような厳格な審査がなく、基本情報の登録ですぐに利用できるケースが多いため、クレジットカードを持たない若年層や、セキュリティ意識の高い層に受け入れられています。

  

  

●審査と利用開始のスピード

 

 BNPLサービスの多くは、メールアドレスや電話番号などの基本情報を登録すれば、簡易な審査のみまたは審査なしですぐに利用可能です。クレジットカード情報を入力することなく利用できるため、カード情報の漏洩リスクを回避する手段として広く選ばれています。

 

 対してクレジットカードは、申込時に職業や雇用形態、年収などの情報を提出し、信用情報機関を使った与信審査が法律上求められており、過去に支払いの延滞があったり、多重債務状態の場合には審査に通らない可能性があります。

  

 

●分割払い手数料負担なし

 

 BNPLでは、分割払いを選択した場合でも利用者は原則、分割手数料は無料で利用できるため、計画的に使えば消費者にとってメリットの大きいサービスです。ただし、分割回数や期間によっては手数料が発生する場合もあるため注意が必要です。

 

 

    

  

  

  

 

なぜ今、世界中で「BNPL」の利用が急増しているのか

 

 日本国内でも大手企業が参入し、普段使いの決済手段としての地位を確立しつつあります。

 

●デジタル・ネイティブな若年層の支持

 

オンライン上で手軽に分割払いを利用できるため、クレジットカードを持たない、あるいは持ちにくい若者層から支持を得ています。

 

●「失敗したくない」心理

 

実物を見てから支払いたいという心理から、衣類や化粧品などの購入で後払いを選択するケースが増えています。

 

   

   

  

  

BNPLの注意点

 

 手軽で便利なBNPLですが、一方で「過剰債務」を助長するリスクも指摘されており、消費者保護の観点から日本や米国で規制の整備が始まっています。

 

 

■決済手数料が発生する

 

 「分割払い」において手数料無料を打ち出すサービスが増える中、「コンビニ払い手数料」や「請求書発行手数料」が別途発生するケースがほとんどです。また、銀行振込の振込手数料も利用者負担になります。

 

「コンビニ払い手数料」は支払いのたびに発生するため、1回あたり数百円だとしても支払い回数が多いと結構な額の出費になります。1回払いでも300~400円の手数料がかかった場合、これを%に換算すると相当な負担となります。固定手数料のため利用額が小さいほど実質コストは割高になります。

 

「請求書発行手数料」は、紙の請求書(払込票)を郵送してもらう場合に1通あたり200円〜300円程度かかります。アプリやメールでの確認なら無料になることが多いようです。

  

    

 

 

■使いすぎのリスク

 

 審査が簡易な分、複数サービスを併用しやすく、自分の返済能力を超えて購入してしまう「過剰債務」リスクが高まります。期日までに支払えなかった場合、遅延違約金や手数料が発生し、支払額が増加します。

 

■信用情報への影響

 

 多くは独自のAI審査などを用いており、信用情報機関に原則登録されませんが、長期間の延滞や未払いが続いてしまうとサービスによっては、信用情報機関に「延滞記録」が登録されてしまいます。そのため、将来のクレジットカード審査や他のローンの契約に影響が出る可能性があります。

 

■「負債」意識の希薄化

 

 分割手数料が無料のケースが多いため、クレジットカードの分割払いよりも心理的ハードルが低く、また、スマートフォンから簡単に決済ができるため、借金をしている意識が薄いことも「過剰債務」に陥る原因としてあげられています

   

  

  

 

利用者の増加とともに、トラブルも増加

 

 利用者が増え、サービスが身近になる反面、BNPLに関連するトラブルも増えています。国民生活センターによせられた後払い決済サービスに関連する相談件数は増加傾向にあり、特にECや通販サイト、フリマアプリでのトラブルが目立っています。

 

■「後払い」という意識が薄れ、支払いを忘れる

 

 商品到着から数週間後に請求が来るため入金日を忘れてしまい、未払いとなってしまうケースです。支払い忘れによる遅延違約金は、せっかくの手数料無料のメリットを帳消しにします。支出全体を把握できるように複数のサービスを併用しないようにしましょう。

 

■返品・解約時の行き違い

 

 商品に不備があって返品した場合や定期購入の解約手続きをしたにもかかわらず、その後も請求書や商品が送られてくるトラブルです。販売店だけでなく、BNPL事業者にも「返品したこと」を伝え、請求のキャンセル手続きを確認しましょう。

 

■身に覚えのない請求

 

 個人情報を不正利用され、身に覚えのない高額な商品がBNPLで決済されていたというケースです。覚えがない場合は、支払う前に販売店、BNPL事業者に必ず確認ししましょう。また、不安に思った場合やトラブルになった場合には、すぐに最寄りの消費生活センター等に相談しましょう。

 

 国民生活センター【増加し続ける後払い決済サービスが関連する消費者トラブル】

 https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20250702_1.html

 

 

 

 

 クレジットカードを不正利用された場合は、基本的にはカード会社が調査を行い、本人に重大な過失がなければ補償(返金・請求取り消し)されるため、金銭的な負担は発生しないケースがほとんどですが、BNPLでは補償をしない事業者もあるため注意が必要です。

 

 

 また、成人年齢が18歳に引き下げられたことで、18歳以上であれば親の同意なしで利用できるサービスも増えています。未成年者であれば「未成年者取消権」で守られることがありますが、成人の場合は契約を簡単に取り消すことはできません。

 

 クレジットカードを持たない若年層を中心に広がるBNPLは、新たなキャッシュレス決済のスタンダードになりつつありますが、あくまで「後払い」は『借金』であるという認識を持つことが重要です。簡易審査という手軽さの裏にある、使い過ぎや返済遅延のリスク、決済手数料などを正しく理解し、慎重に利用するようにしましょう。

     

 

    

       

  

    

<本件に関するお問合せ>
ありがとう投信株式会社 カスタマーサービス部
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