【今月のFP情報コラム】民間保険に加入する前に確認したい公的保険(2025年8月)

 病気やケガなど、日常生活における様々なリスクに備えようと民間保険を検討する人が多いのではないでしょうか。民間保険は公的保険を補完する面もあることから、公的保険の保障内容を理解したうえで、必要に応じて民間保険を選ぶことが大切となります。

 

 何かあった際にまず公的保険でどの程度賄えそうなのか、確認しておくことが重要です。今回は、公的保険制度の中でも、多くの方が利用している公的医療保険についてまとめてみました。

 

 

公的保険制度(社会保険)とは

 

日本は国民皆保険、国民皆年金であり、国や地方自治体が運営する公的保険(社会保険)に、原則として全国民が加入し、保険料を負担する義務があります。例えば、ケガや病気をしたときの治療費などが軽減される「公的医療保険(健康保険)」や、65歳になると国から年金が受け取れる「公的年金保険」があり、職業など条件によって加入する社会保険の種類が異なります。

 

 

公的医療保険とは

 

 公的医療保険とは、私たちやその家族が、病気やケガをした時に医療費の一部が軽減される制度です。公的医療保険は、会社などに勤めている人が加入する「被用者保険」、農家やフリーランス、非正規雇用者、会社を退職した人などが加入する「国民健康保険」、75歳以上を全員対象とする「後期高齢者医療制度」の大きく3つに分けることができます

 

 

公的保険でどれくらいカバーできるの?

 

 日本の医療保険制度には、実は、かなり充実した給付制度が設けられています。主な給付制度の種類と、それぞれの特徴をまとめました。

  

◆最も利用頻度が高い「療養の給付」

 

 医療機関で診察、薬剤投与、処置・手術等の治療を受けた場合に適用される給付制度です。医療機関で保険証を提示すると、医療費や薬剤、処置費、在宅療養などの自己負担額が原則1~3割になります。

  

 

◆医療費の高額負担を軽減する「高額療養費制度」

 

 1カ月間に医療機関や薬局の窓口で支払った自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される制度です。払い戻される金額を計算するベースとなる自己負担限度額は、年齢と年収で異なります。自由診療と呼ばれる保険適用外診療を始め、入院中の食事代や居住費、患者申出のときの差額ベッド代、先進医療にかかる費用は高額療養費の支給対象とならないことに注意しましょう。

 

詳しくは【FP情報コラム高額療養費制度について】をご覧ください。

https://www.39asset.co.jp/blog/2022/12/001735.html

 

厚生労働省【高額療養費制度を利用される皆さまへ】をご覧ください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html

 

 

 

 

◆休んだ期間の生活を保障する「傷病手当金」

 

 病気やけがが原因で会社を休み、勤務先から十分な報酬が受け取れない場合に給付金が支給される制度です。 被保険者が病気やケガによって連続して3日以上働けなくなった場合に適用され、4日目以降、休んだ日に対して支給されます(最長1年半)。支給額は病気やケガで休んだ期間、本人の給与に基づいて算出されます。

 

 傷病手当金は健康保険の被保険者のみを対象とするため、家族の健康保険の扶養に入っている人(被扶養者)は対象外です。なお、自営業者や個人事業主、フリーランス等が加入する国民健康保険には、原則的に傷病手当金がありません。

 

 詳しくは【全国健康保険協会 傷病手当金】をご覧ください。

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3170/sbb31710/1950-271/

 

  

 その他にも、健康保険が適用されない妊娠・出産に関する検査や分娩費用を支給する「出産育児一時金」と「出産手当金」、未就学または義務教育期間中の子どもや難病と診断された方などを対象とした自治体による「医療費助成制度」などがあります。

 

「出産育児一時金」、「出産手当金」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/shussan/index.html

 

「医療費助成制度」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nanbyou/index.html

   

  

   

 

 

「公的保険制度」には様々な制度があります。金融庁のポータルサイトによる公的保険と民間保険の解説が非常に分かりやすいのでご紹介いたします。

 

 

  

※主な社会保険制度と民間保険を例示しており、すべての公的保険制度と民間保険を網羅したものではありません。

※公的保険の給付額は、例えばケガや病気にかかる治療内容、入院期間等に応じて決まります(一律ではありません)。

※毎月の医療費(自己負担分)には上限があります。

出典:厚生労働省"公的保険について"

https://www.fsa.go.jp/ordinary/insurance_leaflet.pdf

 

 

 

 

 

医療保険以外の制度も充実しています。代表的な2つを簡単にまとめてみました。

 

 

労災保険

 

 業務中、または通勤途中の事故によって、病気やケガ、障害、または死亡したときに、被害を負った労働者やその遺族のために必要な保険給付を行う制度です。主な労災保険給付には療養給付、障害給付、遺族給付などがあります。

 

厚生労働省「労災補償」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/pamphletfaq.html

公的年金保険

 

 年金は「高齢者が受け取るもの」というイメージがあるかもしれませんが、それだけではありません。「公的年金」には、高齢者が対象の「老齢年金」のほか、障がいがある人が対象の「障害年金」、一家の働き手や年金受給者が亡くなり、経済的な支えを失った家族が対象の「遺族年金」があります。

 

厚生労働省「私とみんなの年金ポータル」

https://www.mhlw.go.jp/nenkinportal/index.html

 

 

 このように、日本の公的保険制度はいくつもの保障が設定されており、その内容はかなり充実しています。公的保険制度でどこまでカバーできるのかを見きわめ、足りない部分を把握し、その分を民間保険で補うことで、余計な負担を減らしながら万一に備えることができます。

 

 それにはまず、手元の資産がどのくらいあるのかを確認しましょう。貯蓄が十分にある場合には、その資産でカバーできる可能性があるため民間保険は不要かもしれません。

 

 このように、日本国民全員が加入している公的保険には、万が一の場合の経済的な負担を軽減できる保障が備わっていますので、まずは公的保険を活用できるよう、理解を深めましょう。

 

 申請方法や支給要件など、各制度の詳細については加入している保険組合・共済、あるいは自治体の国民健康保険課にご確認ください。

 

 

 

      

     

     

<本件に関するお問合せ>
ありがとう投信株式会社 カスタマーサービス部
フリーコール:0800-888-3900
TEL:03-5295-8030  FAX:03-5295-8031
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