ありがとうの本棚(今月の一冊『日本経済の死角―収奪的システムを解き明かす』)

2025年07月04日(金)

日本経済の死角 ―収奪的システムを解き明かす

(ちくま新書 1840) 新書 - 2025/2/7

河野 龍太郎 (著)

  

 

 

 今月は、日本経済の長期停滞の原因について解き明かした一冊をご紹介させていただきます。人気エコノミストである著者は、「日本の生産性は四半世紀で3割上がっているのに、なぜ実質賃金が上がらないのか、悪循環が続いているのか、真の理由を明らかにします。」と述べています。

 

 一般的に日本経済が停滞して実質賃金が上がらない理由として、生産性が低いからという理由が挙げられていますが、実は生産性は3割も上昇しているのに、主要先進国の中で日本だけ実質賃金が上がっていないという衝撃的な事実を明らかにした上で何が原因かをわかりやすく解き明かし、日本経済の死角になっている問題点と改善策を提示してくれています。

 

 昨今、世界経済における日本経済の地盤沈下や相対的な経済力・購買力の低下については、輸入物価の高騰やインバウンド旅行者の増加、内外価格差など日々のニュースフローや生活の中で実感されていると思います。また、株価や大企業の業績と日本企業の99.7%を占める中小企業の景況感と庶民の生活実感の乖離が以前よりも広がっているのはなぜか?その要因についても明らかにしています。

 

 今月20日に参議院選挙が行われますが、日本の将来を真剣に心配されている方は、日本経済の現状を新たな視点から理解しておくために本書を一読することをおすすめいたします。

        

       

  

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