バリュー株投資とグロース株投資について【中編】

2017年04月29日(土)

 次にグロース株投資は、企業の将来の成長性に注目して企業を選別して投資していく運用方法となります。

 長期で考えれば株価は企業業績との相関があると考えられておりますので、今後業績が良くなっていくであろう企業を選別して投資していけば投資収益を上げることができると考えられます。

 

 現在の純資産額や利益の水準と比べて、仮に株価が高かったとしても将来の企業成長性を加味すれば現在の株価水準は決して高くないと考えられます。将来を基準に考えているところが、バリュー株投資との違いになります。

 

 将来の利益成長として例えばEPS(1株当り利益)が年率何%成長していくかで成長性を見積もっていく方法があります。毎年EPSが成長していく企業の株価は短期的な変動があるものの、長期でみれば利益成長と相関関係があると言われています。

 

 ありがとうファンドが投資先ファンドを通じて投資している銘柄の中から、例としてエムスリー(株)という会社の株価を例として見ていきましょう。

  

 次の図1はエムスリー(株)の2011年6月から2016年6月までの5年間のEPSと株価の実績値となります。

EPSの成長と株価の上昇に相関関係があることがお分かり頂けると思います。

 

図1:エムスリー(株)のEPS実績と株価のグラフ

  

  

出所:Factsetよりありがとう投信作成

   

   

 一般的にグロース株はPBR、PERが市場平均よりも高くなる傾向があります。それは現在の企業価値と将来の成長を織り込んでいる株価を比較するために生じると考えられます。

  

   

 ある銘柄をバリュー株かグロース株で分類する場合、色々な分け方がありますが、東証株価指数では、TOPIXグロース、TOPIXバリューの分類方法にPBRの値を用いていてPBRが相対的に低いものがバリュー株、高いものがグロース株というように分類されております。

  

       出所:東京証券取引所HP

     

   

 このようにバリュー株投資とグロース株投資は企業価値判断をどの時点で主に捉えているかの違いであると考えられます。バリュー株投資は主に現在、グロース株投資は主に将来を基準に判断していると考えられます。

    

   

   

 現在と比較して株価が安いのか、将来と比較して株価が安いのか、バリュー株・グロース株いずれも株価が現在よりも上がっていくことを期待して投資していくことになります。

   

 

 

    

   

   

 そのように考えると大切なのは投資対象銘柄の今後の企業業績になります。グロース株は当然企業業績が期待通りに伸びていく必要がありますし、バリュー株にしても業績が悪くて赤字になってしまうと純資産が減少し企業価値が下がるので安いと判断していた銘柄が割高になってしまうことも十分に考えられます。

  

 つまり、銘柄選別をする際にバリュー株・グロース株というアプローチの違いはありますが、企業価値を維持、向上していける企業を選別できるかどうかが投資リターンの良し悪しにつながっていきます。

 (後編へ続く)

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