ありがとうの本棚(今月の一冊『資本主義が嫌いな人のための経済学』)
資本主義が嫌いな人のための経済学〔新版〕 (ハヤカワ文庫NF)
ジョセフ・ヒース (著) 形式: 文庫
今月ご紹介させていただく本は世の中に溢れる経済学的誤謬の数々を紹介した経済学入門です。
ポピュリズムの時代と言われる現在、米国ではトランプ大統領が自国優先の経済・関税政策を推進し、保護貿易主義にシフトしたことにより世界の政治経済は大きな転換点にあります。また、11月の米国中間選挙に向けてトランプ大統領の共和党に対する民主党内では、経済格差への不満や日常生活の負担軽減を求める動きから民主社会主義者や急進左派が台頭し、存在感を増してきています。
本書では、右派(保守、リバタリアン)も左派(革新・リベラル)もなぜ経済を語って間違えるのかについて具体的な謬見や誤信を紹介しています。
「市場は万能」「税は安いほどいい」「貿易赤字は政府の損失」「人はインセンティブがないと動かない」「利潤追求は悪」「家賃統制」「賃金は労働の対価」「お金を配れば貧困は解決する」「効率と平等は両立不可能」・・・
このような誤謬(多くの人が抱いているが、きちんと検討してみると誤りだと分かる信念)の数々は、お金や市場にまつわる私たちの道徳的信念が反映されているそうです。また、日本でも課題になっているインフレ対応も、常識や直観が私たちを誤った方向へ導いてしまいやすい領域であるそうです。
著者は私たちの経済に関する判断を曇らせている錯覚を見抜く上で必要なのは、直観的な反応を抑えて、物事をより注意深く体系的に考え抜こうとすることが大切であると述べています。そして、常識と専門家の意見が分かれるような論点について一般市民がよりよい理解を得ることは、これまで以上に重要になっているとのことです。
私たちの経済に関する常識的な直観による思考判断を矯正したいと思う方は、大変面白いので是非一読して見てください。
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