世界の政治経済の転換点 <月次レポート2025年8月より>
2025年08月06日(水)
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さて、先月のマーケットですが、トランプ関税が当初よりも低い税率で日本など各国との間で合意されたことがポジティブに受け止められて世界株式市場は総じて上昇した1ヶ月になりました。特に米国株はマイクロソフトやメタ、アップルなど大手ハイテク企業が好決算を発表したこともありナスダックとS&P500が史上最高値を更新しました。
一方、日本株については参議院選挙までは様子見の相場展開でしたが、参議院選挙で参政党や国民民主党が大きく議席を増やす中、与党である自民・公明が過半数割れして敗北しましたが事前の想定内だったこと、その後、石破首相が続投を表明し、トランプ関税の合意が発表されたことで日本株は大きく上昇し、日経平均株価は一時42000円台を回復し、TOPIXは史上最高値を更新しました。
為替相場については米国FRBパウエル議長が利下げせずに金利を据え置いたことにより、米国長期金利が4%台前半で安定的に推移した結果、対ドルレートは144円台から150円台まで大きく円安が進行しました。
そのような中で、ありがとうファンドは月間で+3.6%の上昇となり、基準価額、純資産価額ともに最高値を更新しました。上昇要因としては、主に米国株の上昇と為替相場が大きく円安に振れたことが寄与しました。
今後の見通しですが、トランプ関税の各国との合意内容が明らかになってくる中、今後の世界経済や企業業績に与えるインパクトを予測するのは難しい状況であり、米国の景気動向が今後の金融政策や金利動向に影響を与えるものと思われます。トランプ関税政策によって、これまでの世界経済秩序が崩れて、各国の政府や企業は、貿易や投資、サプライチェーンの見直しと再構築を迫られている状況です。また、日本においても関税交渉の合意の詳細を精査した上で、不当に不利な内容にならないように米国と交渉して改善していく必要があるでしょう。
米国トランプ政権の自国ファーストの経済ナショナリズム政策により、世界経済及び企業業績の先行き不透明感から株式市場は引き続きボラティリティの高い相場展開が続くと思われます。また、長期化するウクライナ情勢、混迷する中東情勢をはじめとする地政学リスクの高まりもマーケットの不確実性に影響を与えると考えられます。
世界の政治経済の転換点
さて、先月、日本では参議院選挙が行われ、与党である自民・公明両党が議席を減らして過半数割れして、参議院でも少数与党に転落することになりました。今回の選挙で注目されるのは、自民党や公明党だけでなく、立憲民主党などの既存野党も得票数を減らす中で、参政党や国民民主党が支持を大きく伸ばしたことです。
特に、参政党は選挙戦がはじまるまでは既存の大手マスコミ(テレビ・新聞等)であるオールドメディアがほとんど報道で取り上げてこなかった中、 SNSでの情報発信と党員による地方組織での地道な草の根活動がベースとなり、「日本人ファースト」を掲げて、外国人による不動産取得問題や不法移民問題等、既存の与野党がともに積極的に取り上げてこなかった課題を訴えたことによって注目が集まり支持を拡大しました。
参政党は、テレビや新聞などのオールドメディアにおいて米国トランプ政権や欧州各国で台頭しているポピュリズム政党や極右政党と同様に見なされて偏向報道されることが多いですが、大きな特徴としては『反グローバリズム政党』という今までの日本になかった明確な立ち位置を示していることです。
既存の与野党が左右に主張が分かれていても支持母体の関係等から基本的にはグローバリズムを推進している中、グローバリズムの問題点を国民目線で訴える参政党の反グローバリズムの主張は今までにない選択肢を国民に提供したと言えるでしょう。米国トランプ政権が自国ファーストの経済ナショナリズムで国民から支持を集める理由の一つは、行き過ぎたグローバリズムによる貧富の格差の拡大による中間所得層の没落や不法移民の流入による治安悪化など、自分達の暮らしが脅かされていることへの不満や既得権益エリート層への反発が根底にあると考えられており、欧州のドイツやフランスなどでも反移民・反グローバリズムを掲げる極右政党が台頭しているのは、同様の理由からでこれは世界的な大きな潮流であると言えるでしょう。
そのような大きな流れがようやく日本にも遅れてやってきたとも言えるのではないかと思います。欧米では移民政策の失敗が明らかになって見直しが行われています。外国人問題については、先行する欧米の失敗事例を反面教師として、同じ轍を踏まないように日本も何らかの規制をしていく必要性があるのではないでしょうか。
現在、日本も世界もこれまでのグローバリズムを前提とした政治経済の枠組みが大きく変わっていく転換点であると考えられます。米国がトランプ関税政策に代表される経済ナショナリズム政策を本格的に実施していくと、各国の貿易コスト負担増は避けられず、それが物価上昇を引き起こして、世界経済の成長や企業業績にとってはマイナスの影響を与える可能性が少なくないと思われます。また、日本の政治情勢はしばらく不安定な状況が続き、このまま少数与党のままでは、決められない政治がしばらく継続していく可能性が少なくないでしょう。
このような先行き不透明な予測が難しい世界の政治経済の転換点だからこそ、資産運用をしていく上で分散投資がますます大切になってくると考えます。長期投資で資産形成していく上でも、インフレや地政学リスクの高まりなどから自分達の資産を守っていくためにも資産分散と時間分散を組み合わせて分散投資をしていくことが大切です。
ありがとうファンドは、お客さまから託されたご資金を複数の国や地域に国際分散投資をするとともに、地政学リスクやイベントリスク、インフレリスクに備えて金(ゴールド)にも投資することでダウンサイドリスクを抑えながら、安定した運用成果を目指して参りますので、引き続きご愛顧いただきますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
ありがとう投信株式会社
代表取締役社長 長谷俊介
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