GPTとJeep
先日『名車再生!クラシックカー・ディーラーズ(Wheeler Dealers)』をみていたところ、司会者のマイクがJeepの名前の由来について言及していました。彼が言うには、第二次世界大戦時に米陸軍の要請によって開発された小型四輪駆動車『General Purpose Vehicle(汎用車両)』を『GP』と呼んでいたそうですが、普及が進むにつれて発音しやすい『Jeep』と呼ばれるようになったそうです。確かに偵察から戦後の『Give me chocolate!』対応までの汎用性を鑑みれば、納得のストーリーですね。このJeep誕生の話を聞きながら、同じような名前を聞いたことがあるような...と思いました。それは2022年11月に公開されたChatGPTです。ChatGPTのGPTは『Generative Pre-trained Transformer』の略で、受益者の皆様も毎日当たり前のように生成AIを使われていると思うので改めて説明する必要はないかと思いますが、一応解説すると『事前学習されたデータをもとに、文章を生成する』を意味します。このGPTという略語には『General Purpose Technology(汎用技術)』という使い方もあり、経済や社会のあらゆる産業において活用され、長期にわたり生産性とイノベーションを劇的に変革する基幹的な技術のことを指します。具体的な例としては、下記の一覧をご参照いただければと思います。Jeepも『自動車』の一部に含まれていることでしょう。
【General Purpose Technology(汎用技術)の一覧】
出典:「平成 30 年版情報通信白書」(総務省)
足元の世界株式市場では、AIが次のGPT(General Purpose Technology)と言わんばかりの状況でAI関連銘柄を中心に上昇が続いています。特にAI普及によるデータセンター需要増期待からメモリ関連銘柄の上昇は顕著です。あまりに急激に上昇しておりますので、バブルが懸念されていますが、私が過去数ヶ月ミーティングをした海外の機関投資家やアナリスト達の意見としては、AIは活躍の場が広がっており、バブルを警戒しながらも長期的な成長とすそ野が広がることによる物色を検討している方が多い印象でした。
【メモリ三兄弟の株価推移】
出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。世界株とマイクロン・テクノロジーは米ドル建て、SKハイニックスとサムスン・エレクトロニクスは韓国ウォン建ての価格を2025年1月1日を1として指数化した推移
【EPSコンセンサスとバリュエーションの推移】
出所:ファクトセットより、2026年6月23日時点
ふと思い起こしてみると、2022年11月にChatGPTがリリースされたころもマグニフィセント7と呼ばれるハイテク関連銘柄の上昇相場が始まり、現在に至るまでなんだかんだいって市場をけん引し続けてきました。今はいわゆる『SaaSの死』と呼ばれる現象で一部のソフトウェア銘柄の株価は低迷していますが、AI自体のテーマはハードウェア、電力関連など業種を変えて続いています。生成AIが流行り始めたころ、業界の有識者の話を聞いたところ『こういったテクノロジーは最初はおもちゃみたいなもので、タダだから遊び半分で使ってみるか?から始まり、いろんな欠陥が見つかりながらも供給側はそれを改善していき、気が付いたらAIなしでは生活できないみたいな過程をたどりながら普及する』と言っていたことを思い出します。まさにその通りになってきましたね。
AI自体も進化しており、直近では質問すると答えるような汎用的なチャット形態の生成AIからより自律的に与えられた目的を遂行するAIエージェントが登場しはじめました。今後はAIエージェントとAIエージェント同士が交渉して仕事を進めるような場面も増えていくのでしょう。最近のIT関連企業の決算を聞いていると、AIエージェントに合わせて人間のワークフロー自体を変えないと生産性が上がらないと言っている企業もありました。その結果が、人間の労働市場に与える影響は怖い気がしますが、今までの常識が通じなくなってきているので人間自体もupdateする必要があるのでしょう。AI同士が働くことになれば24時間365日働けます状態になり、データセンターの需要もさらに増すことでしょう。ある意味、人口で需要の飽和点が決まらなくなるので今までの人口に縛られる需要予測の尺度ではバブルのタイミングを計るのは無理かもしれませんね。むしろ、データセンターを作る資金調達能力や電力などの供給サイドがボトルネックになり混乱が起こるかもしれません。いずれにせよ、何かしらの要因で株価が調整することはあるでしょうが、AIは息の長いテーマだと考えておりますので、右往左往されながらも付き合う必要がありそうです。
【AI利用の高度化に伴う月間処理トークン数の増加(米Google社)】
出所:会社資料より、ありがとう投信作成。米Google社のAI製品に関する公表値であり、生成AI市場全体の統計ではないことに留意
最後に冒頭の名車再生に話を戻すと... メルセデス・ベンツのAMGを再生する回で、AMGの由来についても触れていました。それによるとAMGは創業者2名の苗字と創業地の頭文字からとったそうです。Aufrecht Melcher Großaspach(アウフレヒト・メルヒャー・グロース・アスパッハ)らしいです...ドイツ語カッコいいですね~残念ながら私はうまく発音できませんが...。AMGは「One Man, One Engine」の哲学により、1人のマイスターが1つのエンジンを最初から最後まで責任を持って手作業で組み上げるらしく、名車再生でもエンジンカバーに組み立てを完了させたマイスターの直筆ネームプレートが貼られていました。私が自動車アナリストをしていた頃に米国本社のシニアアナリストがこれからは電気自動車の時代でガソリン車はガレージに大切にしまっておいたら遠い未来にヴィンテージ品になり価値が上がると言っていました。マイスターの仕事はAIに代替されてほしくないものですが...タイパ・コスパの生産性至上主義じゃ難しいのかもしれませんね。
◆記載内容について: 資料に記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。
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【日本株】→FactSet Market Indices Japan 配当込み(税引き前配当再投資)
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【米国株】→FactSet Market Indices US 配当込み(税引き前配当再投資)
【欧州株】→FactSet Market Indices Europe 配当込み(税引き前配当再投資)
【新興国株】→FactSet Market Indices Emerging 配当込み(税引き前配当再投資)
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