第21期ありがとうファンド運用報告(2024年9月3日~2025年9月1日)

2025年10月01日(水)

さて、ありがとうファンドは2025年9月1日に第21期決算日を迎えました。今月のありがとうブログでは約1年間の振り返りを簡単にさせていただければと思います。また、現在全国6ヵ所で開催している第21期運用報告会では本ブログで解説させていただく内容に加えて、足元の投資環境の整理・今後の運用方針などまで広げて話しておりますので、是非ご参加いただけますと幸いです。

 

下図は騰落率と基準価額の推移になります。2025年9月1日時点の約1年騰落率は+12.4%となり、4月2日にトランプ米大統領が『解放の日』と表現した市場の想定以上に激しい相互関税を発表したことなどから、世界株式市場が急落した影響を受け当ファンドの基準価額も下落しましたが、その後株価は戻し、プラスのパフォーマンスで決算日を迎えることができました。

 

【騰落率と基準価額の推移】

出所:ファクトセット等より、ありがとう投信作成

※設定来騰落率については、ありがとうファンド設定日の2004年 9月1日からの騰落率になります

 

 

 

 

ありがとうファンドは世界の国・地域に分散投資しておりますので、各国・地域別の株価推移も見てみましょう。

 

2024年9月の世界株式市場は中国政府による景気刺激&株高政策の発表により、中国株が急激に上昇したことなどから、新興国株が大きく上昇しました。その後は11月の米大統領選を前に動きにくい展開が続きました。

 

11月に入り、トランプ氏の米大統領選勝利が好感され米国株が大きく上昇する一方、他の国・地域株式市場では、米大統領・議会選挙がトリプルレッドになったことから、トランプ氏の関税引き上げなど米国第一主義的な政策の確度が上がり、内向き化する米国が意識され、米国への輸出依存度の高い国の株式市場を中心に低調なパフォーマンスとなりました。

 

年が明けて2025年に入ってからは、トランプ米大統領の就任前後で期待と不安が交錯し、トランプ政権による関税政策の動向などに一喜一憂する相場展開がはじまりました。1月の後半にはDeepSeekショックが起こり、今まで世界株式市場の上昇を牽引してきた米国の半導体関連銘柄などハイテク銘柄を中心に下落に転じる局面も見られました。一方、ウクライナ停戦による復興需要や再軍備期待から、欧州株は年初から力強く上昇しました。

 

4月2日にトランプ米大統領が『解放の日』と表現した市場の想定以上に激しい相互関税を発表したことで、米国株を中心に世界株は急落しました。ただし、すぐに一転して相互関税適用の90日間の発動見送りが発表されるとリスクオンの展開になりました。その後は米中緊張の緩和期待やトランプ大統領のマーケットフレンドリーな発言が増え、市場心理を支えました。

 

6月にはイスラエルとイランが停戦に合意したことを受け、中東の緊張緩和が好感され、米主要株価指数が史上最高値を更新するなど、楽観的な相場展開が続きました。

 

7月は米国の各国・地域との関税交渉進展などに支えられ、おおむね上昇しました。特に対日本においては、トランプ大統領が日本への相互関税を15%と発表したことがポジティブサプライズになり、日本株は大きく上昇しました。

 

8月はトランプ大統領の関税やFRBへの介入に関する発言に振り回される展開にはなったものの、総じて上昇する1ヵになりました。上旬は米雇用統計の軟化などから調整する局面もありました。しかし、米利下げ観測の高まりや、米相互関税への不透明感の払拭などから中旬にかけて上昇しました。下旬はパウエルFRB議長のジャクソンホール会議での講演を受けて米国株を中心に上昇するも、トランプ米大統領がFRB理事の解任を発表するなどして株価の重荷になりました。

 

 

【マーケットのおさらい】

(現地通貨ベース)

出所:ファクトセット等より、ありがとう投信作成

 

 

【欧州ではウクライナ復興・防衛・金融関連銘柄が上昇】

出所:ファクトセット等より、ありがとう投信作成。データは2024年1月月初を1として、2025年9月28日までの推移

 

 

 

次に、為替の推移も見てみましょう。対ドル・ユーロともに比較的up downの大きな期になりました。ドル円は10月月初に、石破首相が植田日銀総裁と歓談し『個人的に追加利上げするような環境にあるとは考えていない』と発言された後1ヶ月で10円近く円安に振れました。その後12月の日銀金融政策決定会合で植田日銀総裁が追加利上げに慎重な姿勢を見せたことなどから、円安傾向が加速しました。年が明けて、1月の日銀金融政策決定会合では政策金利の0.50%への引き上げが決定され、その後は円高傾向に転じました。ユーロ円はドル離れの恩恵から、ユーロ高円安傾向となりました。

 

【ドル円とユーロ円のおさらい】

出所:ファクトセット等より、ありがとう投信作成

 

 

 

 

当ファンドの基準価額は日本円で算出されますので、円ベースでのマーケット推移も見ておきましょう。先ほどの現地通貨ベースの図を円ベースに換算すると以下のような推移になります。

 

【マーケットのおさらい】

(円ベース)

出所:ファクトセット等より、ありがとう投信作成

 

 

 

 

次に、あくまでも概算値になりますが、それぞれの投資先ファンドの寄与度を下記のスライドでまとめてみました。基本的には計算期間の組入比率の高いファンドほど当ファンドの基準価額への寄与度が高くなる傾向にあります。当期はアリアンツ・ヨーロッパ・エクイティ・グロース・セレクトとアライアンス・バーンスタイン・ヨーロピアン・グロース・ポートフォリオ以外全てのファンドが当ファンドの基準価額上昇要因となりました。特に期中平均組入比率の高いアライアンス・バーンスタイン・アメリカン・グロース・ポートフォリオが当ファンドの基準価額上昇の主要な要因となりました。また金ETFについては、世界株式市場の市場平均を大幅にアウトパフォームし、上昇要因となりました。

 

当期の主な投資行動としては、前期から引き続き中国経済の長期停滞と地政学リスクを鑑みて、新興国株ファンドを売却し、RBCエマージング・マーケッツ(除く中国)・エクイティ・ファンドに新規投資を開始しました。また、米国株式の投資スタイル分散のため、アライアンス・バーンスタイン・アメリカン・グロース・ポートフォリオとラザード・グローバル・エクイティ・フランチャイズ・ファンドを一部売却、ラザード・グローバル・クオリティ・グロース・ファンドを全売却し、ブラウン・アドバイザリー・US・サステナブル・バリュー・ファンド、JPモルガン・USグロース・ファンド、フィッシャー・US・エクイティ・セレクション・ファンドに新規投資を開始しました。さらに、欧州株式の投資スタイル分散も考慮し、アリアンツ・ヨーロッパ・エクイティ・グロース・セレクトを一部売却し、アライアンス・バーンスタイン・ヨーロピアン・グロース・ポートフォリオを買い増し、より広い投資ユニバースを投資対象としているJPモルガン・ヨーロッパ・リサーチ・エンハンスド・ETFに新規投資を開始しました。また、既存の組み入れファンドより信託報酬の低いラザード・グローバル・エクイティ・アドバンテージ・ファンドに新規投資を開始しました。トランプ政権の再来から不透明感が増すことを想定し、米大統領選前に金ETF(IAUM)の買い増しも行いました。

 

【投資先ファンド寄与度】

(概算値)

 

【投資先ファンドのパフォーマンス】

(2025年8月末時点)

出所:各種投資先運用会社データ、ファクトセットより、ありがとう投信作成、円ベースのパフォーマンス

  

 

 

 

各国・地域市場ごとに投資先ファンドのパフォーマンスを確認してみましょう。

 

【日本株式市場】

出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。株価・指数は2024年9月2日を1として指数化、2025 年9月1日までの推移。外貨建ての株価・指数はすべて日次で邦貨換算した日本円ベース

 

 

【米国株式市場】

出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。株価・指数は2024年9月2日を1として指数化、2025 年9月1日までの推移。外貨建ての株価・指数はすべて日次で邦貨換算した日本円ベース

 

 

【欧州株式市場】

出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。株価・指数は2024年9月2日を1として指数化、2025 年9月1日までの推移。外貨建ての株価・指数はすべて日次で邦貨換算した日本円ベース

 

 

【新興国株式市場】

出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。株価・指数は2024年9月2日を1として指数化、2025 年9月1日までの推移。外貨建ての株価・指数はすべて日次で邦貨換算した日本円ベース

 

 

【世界株式市場】

出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。株価・指数は2024年9月2日を1として指数化、2025 年9月1日までの推移。外貨建ての株価・指数はすべて日次で邦貨換算した日本円ベース

 

 

【金ETF】

出所:ファクトセットより、ありがとう投信作成。株価・指数は2024年9月2日を1として指数化、2025 年9月1日までの推移。外貨建ての株価・指数はすべて日次で邦貨換算した日本円ベース

 

 

 

以上、簡単ではございますが第21期運用報告とさせていただきます。

 

 

 

 

39!

ありがとう投信株式会社

ファンドマネージャー 真木喬敏

 

         

 

◆記載内容について: 資料に記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。

◆株価指数について:記載されている各国・地域市場の指数は特別注記が無い場合は以下の指数を使用しています。

【日本株】→FactSet Market Indices Japan 配当込み(税引き前配当再投資)

【世界株】→FactSet Market Indices World 配当込み(税引き前配当再投資)

【米国株】→FactSet Market Indices US 配当込み(税引き前配当再投資)

【欧州株】→FactSet Market Indices Europe 配当込み(税引き前配当再投資)

【新興国株】→FactSet Market Indices Emerging 配当込み(税引き前配当再投資)

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