二十分の一の大差
プロ野球で打率3割を打てるバッターは一流と言われ、これだけでも十分に一芸となります。毎年コンスタントに3割打てれば超一流ですね。一方、打率2割5分のバッターは、他に取り柄がなければ二流の烙印を押され、一軍で長く生き残るのはおそらく難しいでしょう。
3割と2割5分の違い、どれぐらいかイメージできますか? これを簡単に言うと、20回のチャンスのうち6回ヒットにできる人と20回のうち5回しかヒットにできない人の違いですね。もっと言うと、20回のうち15回凡退する人と14回凡退する人の違いということです。素人感覚では「たいした違いじゃない」ような話ですが、各チーム最大28名、合計300名余りの選手たちの大半が、この二十分の一の中にあって激しい生存競争を戦っているのです。
さて、これがたいした違いではなさそうにも感じるのは、今のたとえの20回という分母の設定に問題があります。たとえばシーズンの規定打席数を分母に考えると年間20本以上のヒット数の差になってきますから、少し違いを感じられますね。さらに、選手生活20年とすると400本以上のヒット数の差になりますから、こうみると一流と二流の確かな違いを実感できます。
この差を違う切り口で表現すると、ある選手が初めの3年間を2割5分の成績で過ごした場合、その後打撃開眼して3割1分を毎年打ち続けるスーパースターに化けたとしても、選手生活18年にしてようやく通算打率が3割に乗せてくる計算です。つまり、短期で切れば僅かに感じられる差でも、長期になると簡単には取り返しがつかないほどの大差になってしまうのです。
「そんなに頑張ったところで、結果はたいした違いじゃないよ」と開き直って楽をとるのも、ごく僅かな前進でも獲得すべく必死で努力を重ねるのも、どちらもそれぞれの生き方ですし一般的な正解はありません。しかし、少なくともプロと呼ばれる者にとっては後者が絶対的な正解であって、前者をとればいずれ淘汰されることは間違いありません。
運用の世界においてプロに分類される私たちも、今後とも『塵も積もれば山となる』を肝に銘じて精一杯の努力を重ねていく所存です。
ありがとう投信ファンドマネージャー 岡 大
2009.2.13

