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ファンドマネージャー便り

こと志と違ってひっくり返る

経済学の言葉に「合成の誤謬(ごびゅう)」というのがあります。誤謬というのは難しい言葉ですが辞書で引くと「間違い」とあります。これは一人ひとりが「自分にとって有利なように」行動していった場合に、時には「全体を合わせるとみんなにとって不利益なことが起こっていた」というケースを説明するための言葉です。

例えば日本が深刻なデフレに陥っていた時期がしばらく前にありました。「デフレ」とは「継続的な物価の下落」ですから、消費者としては「物を買わずに待っていれば同じものが安く買える」ので消費を抑えます。すると物が売れないので更に値段が下がって更に安く買えるようになります。こうして「消費を抑制する」のは一人ひとりにとっては合理的な行動です。しかしそのお陰で経済全体はデフレが深刻になって景気が落ち込み、仕事はなくなり、給料も増えません。社会全体も不安定になります。果たしてこれは社会全体にとって望ましいことでしょうか?こんなのが「合成の誤謬」の一つの例です。

いま外国為替の市場では継続的に円安が進んでいます。その理由として個人投資家が資金を海外の株式や債券に投資するために円安になっているとの説明があります。その説明が正しいとします。また、個人投資家一人ひとりにとって海外に多くの資金を投じるのが「合理的な行動」と仮定します。そして、その結果として社会全体に大きなマイナスが生じないこともあり得ます。しかし仮に円安がどんどん進んだとすると、輸入品の値段が上がり始めます。日本は食糧や資源を海外に依存していますから生活を支える物の値段が上がっていきます。またお金と経済の景気の関係は、「お金の流れる先」の経済が活気付くという傾向があります。日本のお金が日本を出てゆくことが極端になれば日本の景気にもマイナスになります。

果たして今の円安傾向は「合成の誤謬」を生むことになるのでしょうか?

ありがとう投信ファンドマネージャー 村山 甲三郎
2007.7.20

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