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ぼくらの金融民主主義

「未来バンク、トヨタ・プリウス、国際青年環境NGO A SEED JAPAN、オーガニックフード、フェア・トレード、参加アーティスト;中島美嘉、一青窈、ELT、スガシカオ、井上陽水…、そしてMr.Children」と言えば、もうお分かりの方もいるでしょう。そう、昨年7月に開催された“ap bankfes'05”です。

ライブの前に開催されたダイアローグ(対話)の中で、自治体職員で未来バンク理事長の田中優さんは、「市民がバンクをつくろうと、市民が自分たちが必要なところにお金を流していこうという動きがいっぱい始まりだしているんですよ。そういう可能性の中から次の未来を見たいと思っている。」と想いを伝えていました。

その言葉は、『エンデの警鐘「地域通貨の希望と銀行の未来」(NHK出版)』の編著者でもある作曲家の坂本龍一さんと Mr.Childrenの桜井和寿さんらが、環境問題に取り組むNPOや個人を応援するために ap bank(アーティスト・パワー・バンク)を設立した想いと同じものだと思っています。

IRの専門家である三ツ谷誠さんは、その著書『ぼくらの経済民主主義(NHK出版)』の中で、“失われた10年”について、「国家と銀行というエリートによる「経済の設計」の無惨な失敗の姿であり、…(中略)…

「貨幣」の運用の意思決定を完全に銀行に委ねるのではなく、個々人がそれぞれに相応のリスクを負担する代わりに、独善的な意思決定による経済運営を阻止しようとする方向で動き始めている」と言われています。そして、 ap bankもその「動き」の一つなのだろうと感じています。(傍点筆者)

ところで、「間接金融(貯蓄)から直接金融(投資)へ」という流れの中で、「自己責任」という言葉が多用され、時に自らの責任を限定した資本形態をとる金融機関が広告宣伝の道具として使うことがありますが、直接金融の世界で語られるべき個人の責任とは、損益を基準にした薄っぺらなものなのでしょうか?

これまで、私たちは“貨幣愛”に支えられた金融社会主義と言われるほどの行き過ぎた間接金融の世界で、貯蓄の目的を蓄え殖やすことにしか見出せず、預けたお金の辿り着く先にあまりにも無関心であったのではないでしょうか。お金には力(パワー)があります。お金を預けたり、託したりするに際して、お金にきちんと自分の想いを伝えなければ、その力が誰かの思いのままに操られることになってしまうのです。だからこそ、政府の思惑はどうであれ、「貯蓄から投資へ」といういまの流れを大切にしなければと思うのです。

先ほどご紹介した ap bankのように、間違いなく個人の意思が映された「お金」が地域や社会に対する責任を果たしながら動き出しています。金融民主主義の胎動と言っても良いでしょう。

そしてまた、株式や投信を保有することも同様であり、お金が増えていくことによって将来の自分と家族を支える力となるだけではなく、運用の仕方次第で、地域や社会を支える確かな力ともなり得る。投資とは社会を創ることなのだと私も考えます。納得できる企業行動を実践しているから、あるいは運用方針に賛同できるから保有するという自己決定を通じて、社会の進むべき方向をも選択しているのだと思うのです。

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