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ありがとうコラム

「犬と尻尾」はどうなった?

いまやリーマンショックという言葉もかなり世の中に定着してしまいました。
リーマンとは潰れたリーマンブラザーズという会社のことですがそんなことは知らなくてもリーマンショックの爪あとは世の中に黒々と残っています。この一年ほどの間に金融の世界の激震の過程や原因が盛んにマスコミに登場しアメリカでも日本でも政権が交代し、世の中は変わった(チェンジとオバマ大統領は言いました)という印象があるかもしれません。大きな流れを見れば確かに変化は進行していますが、市場や金融の観点からはむしろまったく変わっていない大事な点が存在します。それはどんなことかと言うと…

2007年12月の弊社の月次レポートの最初に「犬と尻尾」のことを書きました。尻尾を振るのが犬ですが、尻尾が犬を振り回しているのが今の世の中と市場の関係だと申し上げました。結局サブプライムの破綻やデリバティブ取引のツケなど巨大な尻尾の回転失速(?)のお陰で世の中はキリキリ舞いをしたわけです。金融機関の破綻や経済の急激な縮小を経験した後の今はリーマンショックの前とは変わったのでしょうか?

実は昨年の秋から今に至るまでの金融界の現象の根本はリーマンショックの前と大きな共通点があります。それはいまだに犬の尻尾が犬を動かそうとしていることです。以前は市場を動き回る巨大な資金とそれにリターンを与える(ように見えていた)サブプライムローンやデリバティブ取引が「巨大な尻尾」になっていました。今はアメリカを始め世界の多くの中央銀行が市場に注ぎ込んでいる流動性(信用というお金)と「信用破綻を防ぐ」という暗黙の基本方針が「巨大な尻尾」になって世の中を動かそうとしています。あえて申し上げればそれが中央銀行や政府の目的です。

「信用破綻は起こさない」ということを言い換えれば「リスクがない(極めて小さい)」ということ。リスクが低ければ資金が自然に流れるのは一番期待リターンの高いところです。もともと一番リターンが高いところは一番リスクも高いのです。それが「今はリスクが低いですよ」と言われれば一番儲かるところにお金は集中します。それが今起こっていることです。金や原油などの資源が上昇します。新興国の株式も上がります。そこにお金が集中するからです。この構造はリーマンショックの前と同じことです。

ただし以前と同じといっても何から何まで同じというわけではありません。各国の政府が目指しているのは尻尾が小さくなって犬が元気になり犬と尻尾の関係が正常に戻ることです。おそらく年末から来年にかけてそれが実現する方向に向かいだすかどうか、最初の大きな分かれ目になってくると思います。

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