どっち
この度の金融危機は、各方面に論争を巻き起こしている。例えば、経済学の分野では、フリードマン(Milton Friedman)かケインズ(John M Keynes)かの政策論争、会計学の分野では、時価主義か取得原価主義かの論争が起きている。経済学を例に取ってみる。フリードマンはマネタリスト、シカゴ学派のリーダーとして1976年ノーベル経済学賞を受賞した論客だった。
米国のレーガン政権や英国のサッチャー政権の経済政策の理論的支柱であり、小泉政権の経済政策に大きな影響を与えた。小さな政府、競争原理、聖域なき構造改革と竹中元大臣の顔を思い浮かべるだけで、どのような経済政策だったかは容易に理解できよう。簡単にいえば、通貨の供給量と利子率によって景気循環が決定されるとする理論で、金融政策重視の姿勢を取る。
ケインズは、英国の大蔵官僚にして経済学者である。我々の学生時代はケインズ経済学全盛であった。経済を一国全体(マクロ)で捉えた。簡単な図式で示すと、一国の経済をY=C+Iで表す。国民所得Yは消費Cと投資Iから成るから、消費か投資を促せば国民所得は膨らむ。不況時は個人消費が冷え込むゆえ、公共投資(財政政策)を積極的に行えばYは大きく成る。
1929年の米国大恐慌の折り、ニューディール政策の理論的支えになったことから、最近また注目されるようになった。しかし、現実の経済は単純ではない、ケインズが生きた時代と今日では経済環境が大きく違う。経済のグローバル化は、一国の経済政策だけではコントロール不可能になっている。地球規模の政策協調も先進国、発展途上国、後進国ありで調整が難しい。
我々は、なんと厄介な時代に生きていることか。時価主義もこの度の金融危機に一役買っているので取得原価主義への回帰論争が起きている。私はこれらの一連の出来事は人災だと考えている。刹那的な投機目的の取引に照準を合わせてルールを改変した先進国の身勝手に、天罰が下ったとしか云いようがない。長期投資の精神で、もっとゆっくりゆったり生きたいものだ。


