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ありがとうコラム

我、ことごとに後悔す

昨年の日経新聞夕刊「あすへの話題」の欄で哲学者の木田 元という方が「人間は後悔する動物」という題でコラムを書いていました。そこで取り上げられているのが、宮本武蔵の処世訓「獨行道十九条」の第五条「我(われ)事において後悔せず」

この宮本武蔵の言葉は坂口安吾も取り上げていて、宮本武蔵はこの言葉にたどり着くまでにどれ程の後悔を重ねてきたのだろうか?と書いていました。(確か「堕落論」だったと思います)
木田さんの考えも同じようで、更に太宰治が「花吹雪」という小説の中で武蔵の獨行道を引いた上で「自戒の厳粛の意図を以て」自分流の第五条を書いていると紹介されています。

「我、ことごとに後悔す。天魔に魅入られたる者の如し。きっと後悔すると知りながら、ふらりと踏み込んで、さらに大いに後悔する」

木田さんの最後のまとめは「太宰もそうだが、武蔵でさえそんな自戒を立てたのだとすると、どうやら後悔しながら生きるのが人間の常態らしい」となっていました。

一年以上続く金融危機とそれに続く急速な経済の落ち込みは様々な人に「あの時にああしておけばよかった!」という後悔を生んでいると思います。
ただ、先ほどの議論でわかるように絶対に後悔しないというのは難しい。むしろ世の中は後悔することの連続のようです。
では、どうしたらよいでしょうか?

昔「ある愛の詩」という映画がありました。その中のせりふに「愛とは決して後悔しないこと」というのがあって、当時ずいぶんと流行りました。

つまり、予想外のことが起こっても後悔しないような気持ちの持ち方をする、というのが一つの対処法のようです。

もう一つは後悔するような事態に陥っても、決定的に酷い事にならないようにするという対処も大事だと思います。

さて、宮本武蔵に戻りますが、吉川英治の「宮本武蔵」の最後にある次の文章は自分の好きなところです。

「波騒(なみざい)は世の常である。
波にまかせて、泳ぎ上手に、雑魚(ざこ)は歌い雑魚は踊る。
けれど、誰か知ろう、百尺下の
水の心を。
水の深さを。」

後悔はするけれども後悔を乗り越える力を持ちたいものです。

吉川英治の「宮本武蔵」が好きだった小学校以来の友人が突然亡くなって今月が三周忌です。
忙しさにかまけて最後にあまり会えなかった、という後悔は残っています。
しかしいつまでも後悔していては彼に申し訳ない。

どんな時にも後悔を乗り越える力を持ちたいものです。
市場にも経済にも危機は訪れていますが、希望を失わずに前を向いていきたいものです。

今年も頑張って参りましょう。

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