盲点-教育
前回、山梨から製造業が逃げ出す原因に触れた。その所為か行く所、行く所で、皆さんの思いを聞かせて貰える。それらを要約すると、アクセスだけではなく、要因は複数ありそうだ。人材を集め難いと云うのが企業の本音だと聞いた。数がほしい中堅の人材を県内で集めたくとも、県内には工業系の高校が少な過ぎる。確かに普通高校は多いが、中堅技術者養成校は僅かだ。
その所為か工専の誘致は皆さん切望されておられる。更に、理工系の中心大学の充実、即ち山梨大学の理系拡充は産学協同の要になりうる。しかし、高校から大学まで工業系の人材を確保しても、問題の根本的解決にはなっていないらしい。大手企業はブランド力にものを云わせ、優秀な人材を集めることができる。しかし、折角集めた社員の多くは山梨勤務を希望しない。
都会の雑踏に暮らすより、自然豊かな環境の方が良い筈なのに、何故なんだろう。原因は「子弟教育にある」と聞いて愕然となった。盲点だった。東京都に倣った高校の校群制度は、山梨の教育を迷走させて学力水準を引き下げた。東京では私学が台頭して新たな富士山を形成したが、山梨では私学も含め八ヶ岳になってしまった。八ヶ岳の頂上は、富士山には到底及ばない。
現在の格差の原因は教育較差、万人周知の了解事項である。だから子弟教育に不安な親は、女房、子供を都会に残して単身赴任。ところが二重生活は仕事や健康面に悪影響を及ぼし、最後は転職を余儀なくされる。それでも子弟教育は最優先される。希望大学に入って貰いたいと、子供を東京の中高一貫校で学ばせる山梨県内の家庭は意外に多い。悲しくも重い現実である。
企業トップの役割は、10年、20年先の企業の方向を示すことにある。当然、社員の働きやすい職場環境及び家庭環境を念頭に入れて企業立地を考えるだろう。もし、山梨が全国最高水準の教育県に変身すれば、企業の流入は大いに期待できる。研究所、研究機関が集積して企業数も増え、豊かな県になろう。決めつけるのは危険だが、解決策のひとつであることは確か。


