郵便局は民営化でどうなったのか
~民営化による変化と今後の予想 かんぽ編~
郵政民営化によるゆうちょ銀行の誕生とその影響について、昨年12月のこの欄で取り上げましたが、多くの方から反響をいただきましたので、郵政民営化全体についてもう少し詳しくみていきたいと思います。今回はかんぽ=簡易保険を中心にご説明していきます。
かんぽも世界最大
民営化により誕生したゆうちょ銀行が世界最大の総資産を誇る銀行となったことは12月号のこの欄でご説明したとおりですが、これまでの簡易保険を引き継ぐ形で誕生した株式会社かんぽ生命保険も、その総資産は約114兆円で、日本生命の約52兆円を抜いて圧倒的な世界最大規模となっています。日本生命、第一生命、明治安田生命の大手生保3社の総資産を合計すると、ようやくかんぽ生命保険に肩を並べるような状況で、資産規模だけを見ると圧倒的な差があることがわかります。かんぽ生命保険の看板の色は青で、県内では竜王郵便局が株式会社かんぽ生命保険の支店の扱いです。実際の業務はゆうちょ銀行と同様に、各地の郵便局を代理店として業務委託する形態をとっています。
もはや「かんぽ」ではない!?
民営化によって、郵便局で取り扱う生命保険に変化が生じています。これまでの簡易保険は、「簡易生命保険法」に基づく商品という位置づけでした。民営化に伴い、例えば学資保険は「新学資保険」、普通定期保険は「新普通定期保険」と名前を変えました。名前の変わり方は非常に微妙なのですが、民営化後の契約は、他の生命保険会社と同様に、保険業法による生命保険契約ということになります。そのような意味で、従来の簡易保険はもはや存在せず、社名(かんぽ)にその名残をとどめているだけとも言えます。その他、民営化に伴ってどのような扱いになっているのか、気になる点を順を追ってみていきましょう。
- 民営化前に契約した簡易保険契約は何か手続きが必要?
民営化を理由として特段の手続きが必要となることはありません。保険証書に「郵政省」とか「日本郵政公社」などの記載があっても差し支えありません。
- 民営化前の契約を見直したい場合
保険契約の種類によっては、特約の変更や保障内容の追加ができない場合があるそうです。民営化前の契約は政府保証がされていることがその理由です。詳細はお近くの郵便局でご確認いただければと思います。
- 民営化後の保険契約の保護は・・・
他の生命保険会社と同様に、生命保険契約者保護機構によって保護されます。
- 誰でも加入可能?
そもそも簡易保険は医師の診査が不要(告知は必要)、職業上の制約なしといった点がメリットで多くの加入者を獲得してきた商品です。民営化後の商品も、これらについては同様の扱いが継続されています。ただし、民営化前と同様、加入限度額は年齢によって700万円から1,300万円と低く抑えられています。
- 「かんぽの宿」はどうなった?
これまで簡易保険の契約者優先の保養施設であった「かんぽの宿」は、かんぽ生命保険ではなく持株会社である日本郵政の直営となり、一般のホテルや旅館とまったく同様の扱いとなりました。民営化を機に不採算施設はかなり処分されたようですが、民営化後も状況をみながら売却が進められていきそうです。宿泊料金などは従来の水準を維持しているようですので、行くなら早いほうがよいかもしれません。
かんぽ生命保険の今後
ゆうちょ銀行と同様に、かんぽ生命保険も「民業圧迫」の批判の対象となっていました。そのため、今後段階的に政府の出資分を減らし、2017年には完全に民営化されることが決まっています。民営化を見据え、既に医療保険など第三分野と言われる保険について他の生保会社との連携を模索しているような状況です。また、これまで手付かずであった法人・職域マーケットを今後の重点分野としてシェア奪取を目論んでいるとのことです。これまでの待ちの営業から、組織も人も大きく変化していく必要に迫られています。民営化が進むにつれて、提供できる商品も多様化が進み、顧客のニーズに応えやすくなります。将来的には他の生命保険会社と互角に戦っていくことも十分に可能と考えられます。
※この文章は上野会計事務所さんが発行している冊子から転載させていただいております。


