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ありがとうコラム

下町の大女将

世情は相変わらず希薄な人間関係が織りなす模様で気持ちも穏やかではないが、そんなある日90年という歳を重ねつつも己れの仕事を生涯閉じるまで「誇り」と「粋」という気風をもって大正、昭和、平成を現役で生きた女性(ひと)と知り会えた。

職業は「女将」(おかみ)である。日本全国、家業としての看板と軒先にかかげている店はゴマンとあるが、まさに「女の将」大将である。老舗のうなぎ屋を家業にして、その本丸をきりもりしながら、働く人達を身内だの使用人だのと分けへだてなく人情を資本に温情をもって育成した人であった。

お客様からは愛顧という信頼とかけがえのない「絆」という「利」を生み出した人でした。

「今日の売上の目標は」とか「今月の売上目標は」ではなく営業方針は、とにかく「笑顔」で接して「おいしかったよ!」の一言をお客様からいただく為に、働く事を店の人達に願った人でした。お客様が第一ではあるけど、店での働く人は特に番付一番と言い、苦労とおもわず従業員の一人一人をいたわり労働の値に対しては己の身銭を切ってねぎらった人であった。

家宝は「働く体と場所とお客様」といって実践してきた人だった。世知辛いこの頃だが企業人とか経営者とか評されるわくを越えて「粋」と「仁」とをいつくしみ「義」という道理を大切に「礼」という節度をもち、そして人の気持ちを思いやる「智」をもった素晴らしいこの大女将は私に「若旦那」と声をかけてくれたものであったが、先日大往生された。合掌。そして、そんな大女将に出会えたことに感謝!

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