台湾、故宮博物院に行って
やや前の話題で恐縮だが、今年3月半ばに、台北・故宮博物院にいって来たことが、いまでも心に残る思い出として有意義だったと感じるため、ここでその中身を記してみたい。
小生は一人の旅を気にかけないため、いつでも気軽に海外に行ってしまう。今回は、故宮博物院の全面改修直後の記念展として、「大観」と称した特別展示があり、めったに一堂には見られない北宋書画、汝窯の陶磁器などが展示されるとのことだった。かねてより世界の4大博物館といわれる故宮博物院にはいつかは行ってみたいと思っていたため、降って湧いたように飛行機を予約し、ほぼこれだけのために台北に飛んだ。

そもそも台北・故宮博物院の宝物は60万点に及び、展示されている分の品数は8000点程度に過ぎず、全部を見ようと思ったら一生かかっても見切れないというほどの規模である。展示されていない品のほとんどが背後にある山を掘り込んだ貯蔵庫の中に、保管されているそうだ。これらの宝物は、中国国民党政権が、毛沢東率いる共産党との戦いに敗れ、国内転戦している間、ずっとともに輸送してきた末、台湾に逃げたときに持ち込んだ品々だ。もともとは北京・紫禁城にあったものだが、その中でも選りすぐられた8000年の歴史を物語る珠玉のものばかりだ。というのは、運び続けるのが困難で、だんだんと数を少なくせざるを得なくなり、いいものばかりが残ったという次第。北京にも故宮博物院はあるが、台北の故宮博物院の所蔵品にくらべれば、比較の対象にならないそうだ。
ほぼ2日間を費やし、展示物すべてをじっくり見ることができた。まず印象に残ったのが、庶民の浅はかさか、入場料の安さ。これだけの中身なのに200~300円程度。台湾の物価水準もあるのだろうが、国家として多くの人々に見てもらいたいという、国策を感じる。そして、その中身。ここの展示の最初は、7000年前の新石器時代の玉に始まり、20世紀まで続いた清朝の宝物まで、私のような素人にいわせれば、すべての品々がこれでもかという感嘆の連続であった。足の痛いのを忘れるほどの奥深さなのである。一言でいえば、中国の歴史はものすごいものがあると感じさせられる大スペクタクルであった。それらを、本土から海を隔てた異地でみるという歴史の奇妙さを感じながら。
ここで、有名作品をひとつひとつコメントしていたら切りがないので割愛するが、(そもそも私のような素人がコメントする資格もない)ぜひこの故宮博物院のためだけでも、台北に行かれることをお薦めする。


