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ありがとうコラム

長崎訪問

美しい青空に恵まれた秋の一日、長崎を訪れた。

グラバー園

小高い丘の上のグラバー園です。

仕事とは別に、時間があれば行ってみたかったのは「グラバー園」だった。「グラバー邸」を見るというより、そこからの造船ドックの眺めを見たかった。吉村昭の「戦艦武蔵」の冒頭に、突然、棕櫚(しゅろ)が買い占められて市場から消えてしまう話が出てくる。昭和十二年のことである。棕櫚は漁師の海苔漁の網に使われる程度で、市場から消えてしまうほどの需要があるはずのないありふれたものだった。棕櫚は縄に編まれ、さらに頑丈な布に織られ、長崎の造船ドックで建造される「武蔵」を、人々や外国人の目から隠すために日本海軍が九州中の市場から買い占めてしまったのだった。

結局「武蔵」は、一度も戦果を上げることなく沈没してしまった。

今の若い方たちは、「戦艦武蔵」といってもぴんと来ない方も多いに違いない。日本とアメリカがかつて戦争で戦ったということも知らない若者もいるといわれるくらいであるから。

ドッグ

造船大国を支えるドッグです。

この造船ドックでは、そんな歴史を刻みながら今も変わらず船が建造されている。グラバー邸の庭先から巨大なドックを眺めていると、船を作るという人間の生活に欠かせない営みは、あの大きな戦争をも乗り越えて変わらず行われていることに、強く心を動かされた。

同時に、戦争中の空襲を越え戦後の激烈な世界市場での競争を越えて、なおかつ船を作り続けられる日本企業の技術力の高さ、企業のバイタリティの力強さも強く心に残った。

長崎は歴史の交差点のような街である。

長崎を唯一の「開かれた場所」として国を封鎖してしまった江戸時代にも、歴史が転換して明治の文明開化に突き進む頃も多くの人々がこの場所を訪れ通過して行った。

なかにし礼の直木賞受賞作「長崎ぶらぶら節」の舞台となった料亭「花月」は、創業以来今年で三百六十二年とのことである。その「花月」にある「龍の間」には、坂本龍馬が酔って刀傷をつけた床柱が残っている。362年前というとアメリカ合衆国などまだ建国されていない。この長崎はアメリカに原爆を落とされ、壊滅的な打撃を受けながら再び復活し、美しい町並みを作り上げた。このエネルギーの質の高さが、造船ドックで感じた日本企業の競争力を大元のところで支えている力だと感じた。

日本の長期投資とは、投資を通じて、人々の静かでしかし力強いエネルギーを、社会を支える強い企業に伝えて行くことだ。

今回の長崎訪問では、「ありがとう投信」を応援していただいている「内田会計」さんを訪れた。所長の内田先生は、本業でも大活躍されているが、その他に障害者施設の理事長も無償で引き受けていらっしゃる。まさに「ありがとう精神」を発揮されている方だ。「ありがとう投信」もまず本業で力を出して、さらにその先で社会に「ありがとうございます」と恩返しができるようにがんばらねば。

龍馬の刀傷

明治維新の立役者の龍馬の刀傷。

中華街

長崎と言えば中華街も有名です。

 

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